特別講演

共に歩む 〜理学療法士の『根』を見つめて〜
講師:高口 光子(元気が出る介護研究所 代表)
講演趣旨
第27回大分県理学療法士学会のテーマは『共に歩む 〜根を見つめ、そして未来へ〜』です。
このテーマには『対象者一人ひとりに寄り添い、その人らしい人生を支え、共に歩む」という理学療法士の根源に向き合い、明日への一歩を踏み出そうという想いが込められており、医療・介護・福祉、様々な立場の理学療法士や職種が集える学会を目指しております。
本学会の特別講演として高口光子先生をお招きし、「人に寄り添い、共に歩む 〜理学療法士の『根』を見つめて〜」と題してご講演いただきます。高口先生の長年の臨床経験と深い洞察に基づき、「人生を支え、共に歩む」ために、私たち理学療法士に求められることや、「一人ひとりに寄り添う」を実現する組織のあり方、対象者の生活を評価する際のポイント、そして人生の終わりに向き合うという多様なテーマについてご講演をいただきます。私たちの根源を見つめ、そして新しい一歩を踏み出す機会を共にしましょう。
講師プロフィール
理学療法士・介護支援専門員・介護福祉士・介護アドバイザー
元気がでる介護研究所(公式ホームページ:genki-kaigo.net)代表
理学療法士として病院に勤務するも、老人医療の現実と矛盾を知る。より生活に密着した介護を求め、特養に介護職として勤務。介護部長、デイサービスセンター長、在宅部長を歴任した後、
2002年に医療法人財団の教育推進室・生活リハビリ推進室室長を兼務する傍ら介護アドバイザーとして全国を回る。2006年、2012年に老健の立ち上げに携わり看介護部長を兼任する。現場を守りながら若い運営スタッフやリーダー育成に取り組む一方で、講演・執筆・NHK等に出演し、現場からの等身大の発言・提案で現場を変革させようと精力的に日々を送った。
現場からの学びの集大成として『介護施設で死ぬということ(講談社)』『介護の毒は孤独(コドク)です(日総研)』を刊行した。2022年4月「元気がでる介護研究所」を設立し代表となる。『認知症の人の心に届く、声の掛け方・接し方(中央法規)』『おひとりさまの老後が危ない(上野千鶴子共著、集英社新書)』が話題となり、最新刊に『介護リーダー7つの勘所(中央法規)』を発行。
講演資料
教育講演

共に歩むための臨床意思決定
-Shared Decision Makingの実践-
講師:尾川 達也(西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部 / 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター)
講演趣旨
日々の臨床の中で、患者とどのように理学療法の内容を決めているだろうか。本講演では患者とのコミュニケーションの中でも、特に臨床での意思決定場面に焦点を当てて話題提供する。
理学療法の内容を決める一般的な方法として、Evidence-Based Medicine(以下,EBM)がある。EBMとは「臨床研究のエビデンス、医療者の専門技量、患者の価値観、患者の臨床的状況を統合し、患者ケアのより良い意思決定を行うこと」と定義されている。つまり、「根拠に基づく医療」と訳されるEBMであるが、エビデンスのみで判断するわけではなく、患者の希望も考慮された理学療法の決め方なのである。しかし、最近の実態調査では、患者が十分に理学療法の意思決定場面に関与できておらず、理学療法士が主導で実施する内容を決めていることも分かっている。そして、こうした問題を解決する手段として、患者の価値観に重きを置いた意思決定方法であるShared Decision Making(共有意思決定)が提唱され、インフォームド・コンセントに代わる新たな同意の取り方として注目されている。
全人間的復権を目指すリハビリテーション医療において、最善の医療を提供するだけでなく、可能な限り患者の自律性を尊重した関わり方が、我々理学療法士には必要ではないだろうか。 本講演では“患者と共に歩むカタチ”を皆様と考える時間にできれば幸いである。
講師プロフィール
略歴
2015年 畿央大学大学院健康科学研究科 修士課程 修了
2023年 畿央大学大学院健康科学研究科 博士後期課程 修了
2024年~ 畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター 客員研究員
2009年~現在 医療法人友紘会 西大和リハビリテーション病院
学会活動
日本地域理学療法学会 理事
雑誌「地域理学療法学」 副編集長
著書
・PT・OT・STのための診療ガイドライン活用法. 医歯薬出版(分担執筆)
・実践シェアード・ディシジョンメイキング 改題改訂第2版 日本医事新報社(分担執筆)
他、多数
研究業績
・Short-term effects of goal-setting focusing on the life goal concept on subjective well-being and treatment engagement in subacute inpatients: a quasi-randomized controlled trial. Clinical Rehabilitation 2016; 30(9): 909-20.
・Shared decision-making in physiotherapy: a cross-sectional study of patient involvement factors and issues in Japan. BMC Med Inform Decis Mak. 2023 Jul 24;23(1):135.
他、多数
ランチョンミーティング
事例紹介 想いに寄り添う理学療法
講師:萩尾 陽佑(別府発達医療センター)
佐藤 幸喜(訪問看護ステーションえにし)
直野 滉平(臼杵市医師会立コスモス病院)
ランチョンミーティングでは、学会テーマである「共に歩む」にちなみ、患者や対象者の生活や暮らし、そして人生に寄り添った理学療法を提供する事例紹介を3名の講師より講演いただきます。
萩尾先生からは「小児理学療法」の現場から障がいと共に生きる子ども達との歩みを、佐藤先生からは「“想い”を届けて、“想い”に寄り添う」訪問看護サービスの営みを、そして直野先生からは「その人らしい生き方、逝き方」に寄り添った経験を、それぞれご紹介いただきます。一人ひとりの対象者とのかけがえのない経験から、私たちが学べることが数多くあるはずです。理学療法士として目の前の対象者とどう向き合えるのだろうかと、明日に想いを馳せる機会としましょう。
シンポジウム
地域の未来を支えるリハビリテーション
〜健康と幸福への架け橋〜
司 会:田中 健一朗(大分大学福祉健康科学部)
シンポジスト:兒玉 吏弘(大分大学医学部附属病院)【理学療法士】
市野瀬 優哉(株式会社 みらいーず)【理学療法士】
自見 美菜(村上記念病院)【作業療法士】
本シンポジウムでは、「人に寄り添う」リハビリテーションを基盤に、地域社会における健康と幸福の向上を目指す実践とその未来像を多角的に議論します。
少子高齢化に伴う人口構造の変化や地域特有の課題に対応しつつ、リハビリテーションが果たすべき役割を再考し、新たな提言の創出を目指します。
今回、各領域でご活躍されている先生方をシンポジストとしてお招きし、多様な視点から議論を深めることで、地域が抱える現状や課題に対する具体的な解決策を見出し、より実践的で持続可能な未来像を描くことができます。地域に根差したリハビリテーションの可能性を広げ、地域全体の活力向上に寄与できるように情報共有していきましょう。

